心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、トラウマとなるような出来事を体験した後に始まる、日常生活に支障をきたす強く不快な反応です。 PTSDの症状は、大きく以下の4つのカテゴリーに分けられます。 侵入症状:その出来事が頭の中に入り込んでくるように繰り…
心身二元論とは、心と身体は別個の存在であり、相互作用は物理的な法則では説明できないとする立場です。心は主観的な意識や思考、感情などの現象であり、身体は客観的な物質的な現象です。 心身二元論の代表的な人物は、17世紀のフランスの哲学者ルネ・デカ…
心の発達とは、生後から成人になるまで、人間の心の機能や構造が成長・変化していくプロセスです。心の機能には、知覚、認知、感情、意欲、社会性など、さまざまなものがあります。 心の発達は、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に絡み合って起こります。遺…
心の会計(メンタルアカウンティング)とは、お金の入手経路や使用目的ごとに頭の中で分類しながら使うという考え方で、行動経済学者のリチャード・セイラー氏によって提唱されました。 例えば、給料で得たお金は生活費や貯金のために使うべきだと考える一方…
色彩効果とは、色が人に与える心理的な影響のことを指します。色には、色相、明度、彩度の3つの要素があり、それぞれが異なる印象や効果を与えます。 色相:赤、青、黄などの色の種類明度:明るい、暗いなどの色の明るさ彩度:鮮やか、くすんだなどの色の鮮…
条件反射とは、生後から備わっている反射(無条件反射)と、それと無関係な刺激(条件刺激)を同時に繰り返すことで、条件刺激だけでも反射が起こるようになる現象です。 例えば、イヌにエサを与えると唾液が分泌されます。これは、生まれつき備わっている反…
条件づけとは、ある刺激が別の刺激によって引き起こされる反応を学習することです。条件づけには、古典的条件づけとオペラント条件づけの2種類があります。 古典的条件づけ 古典的条件づけは、条件刺激と無条件刺激の組み合わせによって、条件刺激が無条件刺…
情報カスケードとは、少数の人々の意思決定が、他の多くの人々の意思決定に連鎖的に影響を与える現象です。情報カスケードが発生する要因としては、以下のようなものが挙げられます。 情報の不確実性:情報に不確実性が伴っている場合、人々は他者の行動を参…
情動表現の普遍性とは、人間の情動が、文化や民族を超えて、普遍的に表現されるという考え方です。例えば、喜びは笑顔で、悲しみは涙で、怒りは眉をしかめて、恐怖は目を丸くして表現されるといったものです。 この考え方は、1872年にチャールズ・ダーウィン…
情動二要因説とは、スタンレー・シャクターとジェローム・E・シンガーによって1962年に提唱された、情動の発生に関する理論です。この理論によると、情動は生理的喚起と認知的解釈の2つの要因によって生じます。 生理的喚起とは、心拍数や血圧、呼吸数などの…
情動二要因理論とは、スタンレー・シャクターとジェローム・E・シンガーによって1962年に提唱された情動の理論です。この理論は、情動は生理的喚起と認知的な解釈の相互作用によって生じるとしています。 生理的喚起とは、心拍数や血圧、発汗などの身体的な…
ジェームズ-ランゲ説とは、19世紀のアメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズとデンマークの心理学者カール・ランゲによって提唱された情動の理論です。この理論は、情動は、外部からの刺激によって引き起こされる身体的反応の知覚によって生じると説明して…
心理学における情動とは、外界からの刺激や内的な思考・経験によって生じる、一過性の心の状態です。喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安などの基本的な情動から、愛情、幸福、誇り、罪悪感、嫉妬などの複雑な情動まで、さまざまな種類があります。 情動は、主観…
場の理論とは、空間全体に広がる場(field)の性質を記述する理論です。場とは、電磁場、重力場、音波場など、空間全体に広がる物理的な現象のことです。場の理論は、量子力学と相対性理論を統合した理論であり、現代物理学の基礎をなす理論です。 場の量子…
上からの革新とは、組織の上層部が主導する革新です。従来の革新は、現場の従業員や顧客からの要望に応じて、下から上へと変化が起こっていくものです。しかし、上からの革新では、組織のビジョンや戦略に基づいて、上層部が新しいアイデアや施策を打ち出し…
消費のパラドックスとは、技術の進歩により資源利用の効率性が向上したにもかかわらず、資源の消費量は減らずにむしろ増加してしまうというパラドックスです。 19世紀の経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェボンズが、石炭の利用効率の向上と消費量の増加を…
承認の欲求とは、他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めてもらいたいという欲求です。 アメリカの心理学者、アブラハム・マズローの欲求5段階説では、承認欲求は、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求に次ぐ、人間の基本的欲求の4番目に位置づけ…
少数派への同調とは、多数派ではなく少数派の意見や行動に従う、またはそれに近づけることです。集団心理学において、少数派の影響力とは、少数派が多数派の意見や行動に影響を与えることです。 少数派への同調には、以下の3つの理由が考えられます。 集団内…
勝者の呪いとは、オークションで発生する可能性のある現象で、出品物の市場価値より落札額が高くなる現象のこと。この市場価値と落札額との差を縮める方法を含む理論が、2020年ノーベル経済学賞の対象になった。 オークションでは、落札者は出品物の市場価値…
心理学における書き換えとは、ネガティブな思考や感情をポジティブなものに書き換えるプロセスです。書き換えは、認知行動療法においてよく使われる技法であり、不安やうつなどの精神疾患の治療に効果があることが示されています。 書き換えを行う際には、ま…
所属と愛の欲求とは、心理学者のA・マズローが提唱した欲求段階説に登場する、人間関係にまつわる欲求のひとつです。 マズローのモデルによれば、人間は、衣食住や身の安全といった基本的欲求が充たされると、ついで、人間関係にまつわる欲求を充たしたくな…
心理学における純粋性とは、自分の内面の体験に気付き、それをありのままに受け止め、自分の意識を否定したり、歪曲したりしないでいられる状態です。 具体的には、以下の2つの要素から構成されます。 一致性:自分の内面の体験をありのままに受け入れ、それ…
循環論法とは、ある命題を証明する際に、その命題自体を仮定した議論を用いることです。証明すべき結論を前提として用いる論法です。 たとえば、「神は存在する。なぜなら神は万能だから。万能であるということは、神が存在することからわかる」という論法は…
宿命的自殺とは、社会の規制が非常に強く、個人の欲求が過度に抑圧されている状態で起こる自殺です。 19世紀のフランスの社会学者、エミール・デュルケームは、自殺を社会学的観点から分析し、4つの自殺類型を提唱しました。そのうちの1つが宿命的自殺です。…
十分に機能する人間とは、人間の可能性を最大限に発揮している人のことを指します。クライエント中心療法の創始者であるカール・ロジャーズは、十分に機能する人間には、以下の6つの特徴があると述べています。 自己一致:自分の感情や考えをありのままに受…
2415.html集団力学とは、集団における人々の思考や行動等を研究する学問領域です。特に個々の人の行動の集合として記述できないような集団的行動がどのように発生するかをテーマとして扱います。 集団力学は、1930年代にアメリカの社会心理学者であるクルト…
集団本位的自殺とは、個人が所属する集団の利益や規範を重視しすぎるあまり、自らの生命を犠牲にしてしまう自殺です。 社会学者エミール・デュルケームは、自殺を「個人と社会の不調和」が生じた結果であると捉え、自殺を3つの類型に分類しました。そのうち…
集団的無意識とは、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。普遍的無意識とも呼ぶ。 集団的無意識は、個人的な経験や教育などによって形成される個…
集団的浅慮(集団思考ともいう)とは、集団で合意形成を行うことによって、かえって不合理な結論や行動を引き出してしまうことです。 集団浅慮が起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。 集団凝集性が高い外部情報が入らず閉鎖的な状態である…
集団心理学とは、群集状況のもとで醸成される、群集に特有な心理のこと。集合心理である点で、群集を構成する諸個人の精神や意識とは異なる次元の心理現象であるが、群集心理を個人の心理や意識を超越した、なにか神秘的な実体と考えるべきではない。 集団心…