心理学における「生まれ」とは、遺伝的要因を指します。人間の遺伝情報は、父母から受精卵に受け継がれ、赤ちゃんの性別や体型、顔立ち、性格、知能など、さまざまな特徴を決定します。
一方、「育ち」とは、環境的要因を指します。人間は、生まれてから周囲の環境との関わりの中で、成長し、発達していきます。家庭環境、学校環境、地域環境、社会環境など、さまざまな環境要因が、人間の性格、知能、能力、価値観などに影響を与えます。
「生まれ」と「育ち」は、人間の発達に大きな影響を与える2つの要因です。どちらの要因がより重要であるかという議論は、古くから行われており、明確な結論は出ていません。
「遺伝説」は、人間の発達は遺伝によってほぼ決定されるという考え方です。一方、「環境説」は、人間の発達は環境によってほぼ決定されるという考え方です。
近年の研究では、人間の発達は遺伝と環境の相互作用によって生じることが示唆されています。つまり、生まれ持った遺伝的素質が、育った環境によって発揮されるかどうかが決定されるのです。
たとえば、生まれつき高い知能を持っている人が、良い教育を受ければ、さらに知能を伸ばすことができます。逆に、生まれつき知能が低い人が、悪い教育を受ければ、さらに知能を低下させてしまう可能性があります。
このように、生まれと育ちは、人間の発達に相互に影響し合っていると言えます。