職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

基準率の無視

基準率の無視(Base Rate Neglect)は、判断や意思決定の際に基準率(ベースレート)を適切に考慮せずに、特定の情報や詳細な事例に過度に依存する傾向を指します。

基準率とは、特定の集団や事象の発生確率や分布を表す一般的な統計的な情報です。例えば、「ある病気の発生率は1%である」という基準率が与えられた場合、一般的な状況や集団においてその病気にかかる確率は1%であることを示しています。

しかし、基準率の無視では、個別の情報や具体的な事例に基づいて判断が行われるため、基準率が軽視される傾向があります。人々は、具体的な情報や事例が与えられると、それに引き込まれてしまい、基準率を見落とすことがよくあります。

例えば、ある疾病の検査が90%の精度で陽性と判定されるとします。しかし、その疾病の発生率が非常に低い1%であるという基準率も同時に考慮されるべきです。基準率を考慮しないまま、単に陽性判定が出たからといって、自分がその疾病にかかっている確率が90%になると考えるのは誤解です。

基準率の無視は、判断におけるバイアスや誤りを引き起こす可能性があります。特に、情報が感情的に響く場合や具体的な事例が目立つ場合に顕著です。この傾向は、マーケティングや広告、メディア報道などのコミュニケーションにおいてもよく見られます。

基準率の無視を回避するためには、具体的な事例や情報に捉われず、基準率や統計的なデータを適切に考慮することが重要です。客観的な情報や統計データを綿密に分析し、総合的な視点で判断することが求められます。また、自己の判断に対して批判的思考を持ち、情報の正確性や信頼性を検証することも重要です。