心理社会的発達理論とは、20世紀後半にエリック・エリクソンによって提唱された、人間の発達に関する理論です。この理論では、人間の発達は8つの段階に分けられており、それぞれの段階で課題に取り組むことで、その段階に応じた力や特性を獲得していくとしています。
8つの段階と、それぞれの段階で取り組むべき課題は、以下のとおりです。
乳児期(0〜1歳半):基本的信頼対不信
幼児前期(1歳半〜3歳):自律性対恥辱と疑念
幼児後期(3〜5歳):主導性対罪悪感
学童期(6〜12歳):勤勉性対劣等感
青年期(13〜20歳):アイデンティティ対アイデンティティ拡散
青年期後期(20〜40歳):親密性対隔離
壮年期(40〜65歳):生殖性対停滞
老年期(65歳以上):統合感対絶望
例えば、乳児期の課題である基本的信頼対不信では、乳児が養育者から愛情や関心を十分に受けることで、基本的信頼感を獲得します。この信頼感は、その後の人生における人間関係や社会への適応に大きく影響します。
エリクソンは、発達段階のそれぞれで課題に取り組むためには、周囲の人のサポートや、社会の制度や文化が重要であると主張しています。また、発達課題をうまく乗り越えることで、次の段階の課題に取り組むための力や特性が獲得できるとしています。
心理社会的発達理論は、人間の発達を理解する上で、重要な理論の一つです。この理論を理解することで、子どもの発達を支援したり、自分の発達を振り返ったりすることができるでしょう。