ストックホルム症候群とは
ストックホルム症候群とは誘拐や監禁などされた被害者が犯人と一緒に過ごすうちに犯人に好意的な感情を抱く心理を言います。
ストックホルム症候群の語源は、1973年にスウェーデンの ストックホルムで起きた強盗事件の記録からきています。
ストックホルムで起きた強盗事件
銀行強盗によって人質4人が銀行に監禁され、犯人は6日間銀行に立てこもりました。
最後には人質は解放されたのですが、警察は人質が犯人と感情的に強いきずなで結ばれていることに気づきました。
人質は犯人から離れることを拒み、法廷では犯人をかばい彼らに不利な証言をすることを拒否しました。
犯人は人質を丁寧に扱い危害を加えなかったことが関係していると言われています。
事件後、事件を調査した犯罪学者で精神科医のニルス・ベイエローは、被害者が犯人に好意を抱く現象を「ストックホルム症候群」と名付けました。
そのあと、人質が誘拐・監禁した者に肯定的な感情を持つようになった状態を指す言葉としてもよく使われるようになりました。
ストックホルム症候群はなぜ起きるのか?
多くの心理学者は、ストックホルム症候群は生命の危機に瀕した状況において生存するために必要な行為と考えています。
また、数日、数週間、数ヶ月、あるいは数年にわたる拘束や虐待によって生じる心理的反応の一部であるとも考えています。
ストックホルム症候群は珍しい心理現象で、FBIは多くの誘拐事件の中で、ストックホルム症候群の症状が見られたのは8%だけだと指摘しています。
ストックホルム症候群になった人の症状
ストックホルム症候群の人からは次のようなことが見て取れます。
- 犯人に対して肯定的な感情を抱きます。
- 被害者を救出しようとする人々に対して否定的な感情が芽生えます。
- 犯人が言うことや価値観に賛同し支持します。
- 被害者は自ら進んで加害者に協力し犯罪を犯すことさえあります。
ストックホルム症候群になる原因
密室の中で逃げれば殺すと言われて銃口を向けられると、被害者は生き残るためには犯人に従うしかありません。
そのような状況の中で犯人が暴力を振るわずに被害者に小さな親切をすると、被害者にとって犯人がヒーローに見えてきます。
命にかかわるような状況では、ちょっとした親切や暴力のないことが友情の証のように思われ、被害者は通常それを頼りにして生きていくことになります。
被害者は犯人がだんだん怖くなくなり、むしろ生存や危険から身を守るための手段のように思えてきます。
被害者はやがて誘拐犯は友人で、自分を殺さないし、互いに助け合って窮地を脱することもできると本気で思うようになります。
そのためストックホルム症候群に陥った被害者は、ときには犯人を守ることさえあります。