リトロフレクションとは、ゲシュタルト療法において用いられる概念の1つで、自分の内面を他人の中に投影する現象のことを指します。
ゲシュタルト療法では、人は自分の内面を他人の中に投影することで、自分の感情や欲求を認めずに生きようとする傾向があると考えています。例えば、怒りの感情を他人に投影する場合、自分は怒っていないと思い込みながら、他人に怒りを発散したり、他人を怒らせるような言動をとったりするようになります。
リトロフレクションは、境界の機能不全の1つとして考えられており、自己と他者の区別が曖昧になっている状態と言えます。リトロフレクションを解消するためには、自分の内面を認め、他人と自分を区別することが重要となります。
リトロフレクションの例としては、以下のようなものが挙げられます。
他人を自分の理想の姿に押し付ける
他人を自分の嫌いな部分の持ち主として見てしまう
他人の行動を自分のせいだと考える
他人の感情を自分の感情だと感じる
リトロフレクションは、日常生活においてもよく見られる現象です。例えば、仕事でミスをして怒っている部下に対して、上司が「お前はいつもこんな調子だから」と怒鳴る場面を考えてみましょう。この場合、上司は部下のミスを自分のせいだと思い込み、怒りの感情を部下にぶつけています。これがリトロフレクションの典型的な例と言えるでしょう。
リトロフレクションを解消するためには、自分の内面を見つめ、他人と自分を区別することが重要です。そのためには、自己理解を深め、他人と自分を客観的に観察することが大切です。また、ゲシュタルト療法の技法を用いて、自分の内面と向き合う機会を持つことも効果的です。