コントロールの錯覚（Illusion of Control）は、個人が自身の行動や選択が結果に対して大きな影響を持っていると過大に評価する認知的なバイアスです。つまり、実際よりも自分の制御や影響力を過信する傾向があることを指します。
コントロールの錯覚は、人間の認知の特徴の一つであり、さまざまな状況や領域で見られる可能性があります。以下にいくつかの具体例を挙げます：
ギャンブルやくじの結果に対する錯覚：人々は、自分が特定の行動やルーティンを行うことで、ギャンブルやくじの結果をコントロールできると過大評価する傾向があります。たとえば、特定の方法でくじを引いたり、特定の数値に賭けたりすることで勝利の確率が高まると思い込むことがあります。
投資や金融市場における錯覚：投資家は、自身の選択や行動が株価や市場の変動に対して大きな影響を持つと過信し、市場の予測やコントロールが可能であると考える傾向があります。
健康や病気に関する錯覚：健康に関する行動や習慣（食事、運動、予防接種など）が、病気や疾患の発生や進行に対して強い影響を持つと過大に評価することがあります。
コントロールの錯覚は、人々が予測不可能な出来事や状況に対して不確実性を減らすために発生する可能性があります。自己効力感や意思決定の安心感を高めることもありますが、現実との乖離やリスクの過小評価を引き起こす場合もあります。
重要な点は、コントロールの錯覚が人間の認知的な特徴の一部であるということです。ただし、合理的な判断や意思決定をする上で、現実的な制約や不確実性を考慮することが重要です。
