職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

アブニー効果

アブニー効果(Abilene paradox)は、組織行動や意思決定において、個人が本来の意見や望みを抑えて集団の一致した意見に従う現象を指します。この現象は、集団内の個人が自己の意見を主張せず、他のメンバーに合わせることで、集団の結果として誰も望んでいない結論や行動が採用されることにつながります。

アブニー効果の名前は、1974年にジェリー・ハーヴィン(Jerry B. Harvey)が提唱した「アブリリーンの誤謬」という短編小説に由来しています。この物語では、一家が暑い日にアブリリーン(Abilene)へのドライブ旅行に出かけるが、各々が実際はその旅行を望んでいなかったにもかかわらず、他のメンバーに合わせて行動してしまう様子が描かれています。

アブニー効果は、以下の要素によって引き起こされることがあります。

個人の自己抑制:個人が自分の本当の意見や望みを抑えてしまい、集団の一致した意見に従ってしまうこと。
集団の圧力:他のメンバーがどのような意見を持っているかを推測し、合わせることで集団内での受容や調和を保とうとすること。
偽装的一致:各個人が他のメンバーの意見に同意したように見せかけることで、誤った一致が生まれること。
アブニー効果が発生すると、本来の意見やアイデアが抑圧され、集団の創造性や意思決定の質が低下することがあります。また、アブニー効果は集団の中での不正確な情報共有や誤った前提条件に基づく意思決定にもつながる可能性があります。

アブニー効果を回避するためには、個人が自己の意見や望みを率直に表明し、他のメンバーとのオープンなコミュニケーションを促進することが重要です。また、組織やグループの文化を整備し、意見の多様性や対立を受け入れる環境を育むことも有効です。