暗黙知(Implicit Knowledge)は、個人が持つ知識やスキルのうち、意識化されずに行われる、言語化されにくい、または説明しにくい形態の知識を指します。暗黙知は個人の経験、直感、感覚、習慣、感情、身体的な技能など、さまざまな要素から成り立っています。
暗黙知は、言葉や論理的な形で明示的に表現されることが難しいため、他人に直接伝えることが困難な場合があります。例えば、自転車に乗ることや泳ぐこと、絵を描くことなどは、暗黙知の一例です。これらの活動は実際に経験しながら身につけるものであり、説明するだけでは完全には理解されません。
また、経験に基づく専門知識や職業上のスキルも、暗黙知の一部とされます。医師の診断能力やプログラマの問題解決能力などは、経験と洞察に裏打ちされた暗黙知によって発揮されます。
暗黙知は明示的な知識(Explicit Knowledge)とは対比される概念です。明示的な知識は言語や記号で表現できる知識であり、書籍や文書、データベースなどに記録されることが一般的です。
重要な点として、暗黙知は個人にとっては当たり前のものであり、自覚されずに行動や判断に反映されます。しかし、他人との共有や伝達の際には明示化が必要となる場合があります。そのため、組織やチームにおいては、暗黙知を共有し明示化するためのコミュニケーションや知識管理の取り組みが重要とされています。