職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

リスク補償

リスク補償(Risk Compensation)は、個人や組織がリスクを感じた場合に、そのリスクを軽減するために行動する傾向があることを指します。具体的には、個人や組織が安全対策や予防策を講じた場合、その結果としてリスクを冒す行動や無防備な行動に対する意識や注意が低下するという現象です。

リスク補償の理論は、カナダの心理学者ジェラルド・J・サヴォータ(Gerald J. S. Wilde)によって提唱されました。彼は、人々が安全対策が導入されると、自分の行動が安全になるとの錯覚を抱く傾向があると主張しました。

具体例として、自動車におけるリスク補償の効果を考えてみましょう。例えば、シートベルトが普及し始めた当初、人々がシートベルトを着用することで安全性が向上すると認識し、それによって運転行動や速度制限の無視、注意散漫な運転などのリスキーな行動をとる傾向が生じることが指摘されました。

このように、リスク補償は安全対策が逆効果になる可能性があることを示唆しています。人々が安全対策を講じることは重要ですが、同時にリスク補償の効果を認識し、自己の行動に対する注意と責任を持つことも必要です。

ただし、リスク補償の効果は個人や状況によって異なる場合があります。人々の行動は多くの要因によって影響を受けるため、一概にリスク補償が必ずしも起こるわけではありません。そのため、リスク管理や安全対策の観点からも、リスク補償の可能性を考慮しながら対策を講じることが重要です。