職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

スプリッティング

スプリッティング(splitting)は、心理学および精神分析学の用語で、複雑な現実を二分化する心理的防衛機制を指します。この防衛機制では、人は世界や人々を「全て良い」または「全て悪い」という二極化した視点でとらえる傾向があります。この二分法によって、人々や状況を完全に良いものまたは完全に悪いものとして判断することで、複雑さや不確実性に対する不安を軽減しようとするのです。

スプリッティングは一時的な心理的なメカニズムとして現れ、主に以下のような状況で見られることがあります:

対象の理想化と非難: 対象を極端に理想化したり、逆に否定的に非難したりします。例えば、人間関係においては、他人を完璧だとか完全に悪いと考えることがあります。

自己の分離: 自己を完全に良いものとして見なし、自分自身を否定的な側面から切り離します。自己を完璧な存在と見なす一方で、自己の欠点やミスを否定的に受け入れることができない傾向があります。

感情の断片化: 感情や感情体験を二分化し、相反する感情を同時に持つことが困難になります。例えば、他人に対して同時に愛と憎しみを抱くことがあります。

スプリッティングは、特に人間関係や自己評価において問題を引き起こす可能性があります。二分法的な思考は、相手の行動や意図を誤解し、関係の破綻や感情的な紛争を引き起こすことがあります。また、自己の分離や自己評価の極端な偏りは、自尊心の揺らぎや心理的な困難をもたらすことがあります。

心理療法や自己成長のプロセスでは、スプリッティングの傾向に対して意識し、現実の複雑さやグレーゾーンを受け入れる訓練や洞察が行われます。

個人は、他人や自己をより包括的に理解し、グレーゾーンや相反する感情を認めることで、より健康的な心理的調整を促すことができます。心理療法においては、スプリッティングの傾向を探求し、その背後にある感情や信念を明らかにすることが行われます。また、対人関係や自己評価においてよりバランスの取れた視点を養うための戦略やスキルが提供されることもあります。

なお、スプリッティングは個人や状況によって異なる程度で現れる可能性があります。一時的なストレスや困難な状況では、スプリッティングの傾向が強まることがありますが、通常は自然な心理的な変遷や成長の過程の一部として解消される傾向があります。

総括すると、スプリッティングは複雑な現実を二分化する心理的防衛機制であり、理想化と非難、自己の分離、感情の断片化といった特徴を持ちます。スプリッティングの傾向は人間関係や自己評価に影響を与える可能性があり、心理療法や自己成長のプロセスにおいて意識と取り組みが行われます。