公正世界仮説（Just World Hypothesis）は、社会心理学において使用される概念であり、人々が世界は公正な場であり、人々が受ける報いは実際には自らの行動に相応しいものであると信じる傾向を指します。
公正世界仮説は、以下のような特徴を持ちます：
公正性の信念：人々は一般的に、個人の行動や結果は公正な原則に基づいていると信じる傾向があります。つまり、善行には報いがあり、悪行には罰があるという信念が存在します。この信念により、人々は自身や他の人々の結果を解釈し、説明しようとします。
被害者責任転嫁：公正世界仮説は、被害者に対して責任を転嫁する傾向ももたらすことがあります。例えば、被害者が不幸な状況にある場合、それを自らの行動や性格によるものと解釈し、被害者を非難することがあります。このような責任転嫁は、自己防衛や不確実性の回避と関連していると考えられています。
公正世界仮説は、人々が不安や無力感を和らげるために使用する認知的な戦略の一つとされています。この仮説は、現実の不正や不平等を説明する際にも適用され、社会的正義や道徳的な価値観を維持するために役立つ場合もあります。
しかし、公正世界仮説は現実とは必ずしも一致せず、不幸や不正を経験している人々の感情や体験を無視する可能性があることに留意する必要があります。また、この仮説が根拠のない責任転嫁や差別的な思考パターンを助長することもあります。
