職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

視線のカスケード現象

視線のカスケード現象とは、選好判断における意思決定の直前に選択する刺激に対して視線を向ける割合が偏りはじめ、その偏りが判断時まで上昇し続けるという現象のことである。

1995年にShimojoらが初めて報告したこの現象は、アイトラッキング技術を用いて、被験者に2つの刺激を提示し、どちらか一方を選択させる課題において観察された。その結果、被験者は選択する刺激に対して視線を向ける割合が段階的に増加し、最終的にはその刺激を選択することが示された。

視線のカスケード現象は、単純接触効果と選好注視の相互作用によって引き起こされると考えられており、以下のようなメカニズムが提唱されている。

被験者は刺激を提示された直後から、単純接触効果によってその刺激に好意を抱き始める。
好意を抱いた刺激に対しては、視線を向ける回数や時間が長くなる。
視線を向ける回数や時間が長くなることで、その刺激に関する情報がより多く処理され、好意がさらに高まる。
この好意の増加が意思決定に影響を与え、最終的に選択する刺激が決定される。
視線のカスケード現象は、意思決定プロセスの理解に重要な知見を与えると考えられている。また、マーケティングや広告などの分野においても、消費者の購買行動を予測する新たな指標として注目されている。

なお、視線のカスケード現象は、選好判断に特有のものではないと考えられている。例えば、類似性判断や、より自分に近い刺激を選択する判断でも、この現象が観察されている。