心理療法の一種で、人が自分自身や自分の人生について語る物語に注目したもの。このアプローチは、人は自分が作る物語を通して自己意識とアイデンティティを構築し、その物語を変えることで前向きな変化と成長につながるという考えに基づいています。
ナラティブ・セラピーでは、セラピストは、クライアントが自分の人生における支配的な物語を調べ、その物語がどのように制限したり傷つけたりしているかを確認する手助けをします。そして、クライエントの強み、能力、成長の可能性を強調した、より肯定的な新しい物語を創り出すよう、クライエントと協働していきます。
ナラティブ・セラピストは、クライアントの新しいナラティブを創り出すために、自由形式の質問をしたり、別の視点を探ったり、クライアントの感情や経験を深く掘り下げるように促したりするなど、様々なテクニックを用います。その目的は、クライエントが自分の人生の物語を、力を与え、希望を持ち、充実したものになるように再作成するのを助けることです。
ナラティブ・セラピーは、うつ病、不安症、トラウマ、依存症など、さまざまな精神的な問題の治療に用いられています。また、家族療法、カップル療法、グループ療法の場でも使用されています。
ナラティブセラピーに関する研究は限られていますが、いくつかの研究では、うつ病や不安の症状を軽減し、自尊心を高め、全体的な幸福感を向上させる効果があることが示唆されています。しかし、他の療法と同様に、ナラティブ・セラピーの効果は、クライエントの個々のニーズとセラピストのスキルやアプローチに左右される可能性があります。
