グレートマザーとは、ユング心理学において、集合的無意識の中に存在する母なるものを指します。慈しむもの、包み込んでくれるものといった存在のイメージですが、同時に包み込むことは呑み込むことに通じ、子どもを独占・束縛しようとする破壊的なイメージもあります。
グレートマザーは、母親のイメージに限らず、自然界や宇宙全体を母なる存在と捉えることもできます。例えば、大地は母親のように私たちを育み、生かしてくれています。また、宇宙はすべてを包み込んでくれる母親のような存在と言えます。
グレートマザーは、女性だけでなく、男性にも重要な意味を持ちます。男性は、グレートマザーとの対立や統合を通して、自己の中の母性的な要素を受け入れ、より完全な人間へと成長していくことができます。
グレートマザーは、世界中の神話や宗教、民話などにも登場します。例えば、キリスト教の聖母マリア、ヒンドゥー教のカーリー、ギリシャ神話のヘラなどが、グレートマザーの象徴として捉えられています。
グレートマザーは、私たちの無意識の中に深く根ざしているイメージです。夢や芸術作品、文学作品などに現れることも多く、私たちの心理や文化に大きな影響を与えています。