ダブルバインドとは2つの相反するメッセージを受け取るというコミュニケーション上のジレンマ。
例えば、「何でも聞いて」と上司から言われたので聞いたら「それくらい自分で考えろ」と返されるような状況です。
もし聞かなければ、「何でも聞いて」と言っただろと怒られます。
ダブルバインドが発生するときは、一方の要求を満たせば他方の要求を満たすことができないときで、受け手がどのように行動しても適切でないと認識され、その要求がいかに不合理であるか、コメントすることさえ許されないようなときです。
ダブルバインドを受け続けることで、自尊心の低下、相手への恨み、無気力などの要因になることがあります。
ダブルバインドの例
ダブルバインドの例としては、母親が小さな子どもに「愛している」と言いながら、顔を背けたり、しつけのために体罰を与えたりすることが挙げられます。
子どもは言葉と行動の矛盾にどう対応していいかわからず、矛盾を言葉で表現することも難しい。
だからといって母親を無視することも離れることもできません。
子どもにとってストレスとなり、混乱し、不安を生み出します。
ビジネスで使われるダブルバインド
例えば販売員が「現金で払いますか、それともクレジットカードで払いますか」と尋ねるかもしれません。
どちらの結果もその人が購入することを前提にしていますが、3番目の選択肢(買わないという選択肢)は意図的に話し手の選択肢から排除されています。
現金かクレジットカードかの例は矛盾がないので「ベイトソンのダブルバインド」とは異なりますが、これもダブルバインドの一種と言われています。
ダブルバインドと統合失調症
ダブルバインドは、1950年代半ばに人類学者のグレゴリー・ベイトソンによって、初めて使われた言葉です。
ベイトソンは、統合失調症の患者と家族の間でダブルバインドが頻繁に見られることを発見しました。
ベイトソンは、常にダブルバインドに陥っている人は、統合失調症の症状が出て くると言います。
ベイトソンによると統合失調症は必ずしも先天的な精神障害ではなく、ダブルバインドによる学習性無力感によって引き起こされており、患者はダブルバインドからの逃避先を妄想の世界に作り出していると言いました。