職場で使える心理学

もしあなたが職場の人間関係で悩んでいるのなら心理学の知識を使って解決できるかもしれません。

ハイダーのバランス理論

ハイダーのバランス理論(Heider's Balance Theory)は、社会心理学者Fritz Heiderによって提唱された理論です。この理論は、人々の認知的なバランスや不均衡の状態が、その人々の態度や関係性にどのような影響を与えるかを説明します。

ハイダーのバランス理論では、以下の3つの要素が関与します:

個人(Person): 個人は態度や評価、信念を持っています。例えば、自分自身や他人、あるいは特定の対象やグループに対する態度や評価です。

対象(Object): 対象は個人が対象とするものや人物です。これは具体的な人や物事、アイデア、グループなどが含まれます。

関係(Relation): 関係は個人と対象の間の関連性や結びつきを指します。例えば、好意的な関係、敵対的な関係、支持する関係などがあります。

ハイダーのバランス理論では、バランスの状態と不均衡の状態の2つの状態が考えられます:

バランスの状態(Balanced State): バランスの状態では、関係の3つの要素(個人、対象、関係)の間に一貫性があります。例えば、個人が対象を好み、関係が良好である場合などが該当します。

不均衡の状態(Imbalanced State): 不均衡の状態では、関係の3つの要素の間に一貫性がない状態が生じます。例えば、個人が対象を好みながらも関係が悪い場合や、個人が対象を嫌いながらも関係が良好な場合などが該当します。

ハイダーのバランス理論では、人々はバランスの状態を好み、不均衡な状態を不快に感じる傾向があるとされています。そのため、不均衡な状態を解消するために、人々はさまざまな調整や行動を行います。例えば、態度や評価の変更、関係の再構築などが該当します。

ハイダーのバランス理論では、人々は不均衡な状態を解消するために以下の2つの戦略を使用するとされています:

調整(Attitude Change): 個人は自身の態度や評価を変えることで、不均衡な状態を解消しようとします。例えば、個人が対象を嫌いな場合には、対象に対する態度を変えることで関係を修復しようとする可能性があります。

分離(Separation): 個人は関係の一貫性を保つために、対象との関係を断つことで不均衡な状態を回避しようとします。例えば、個人が2人の友人でありながら、2人の友人同士の関係が悪い場合には、2人の友人を分けて付き合うことで関係の不均衡を回避する可能性があります。

ハイダーのバランス理論は、人々が自身の関係や態度を維持しようとする動機や行動を説明するための枠組みとして使用されます。また、この理論は社会的な調和や不和、グループ内の関係構築や維持に関する研究においても応用されることがあります。

しかし、ハイダーのバランス理論にはいくつかの限界も指摘されています。例えば、この理論は単純な二項関係に基づいており、複雑な社会関係や多次元の態度を考慮することができません。また、個人の認知や判断が単純なバランスの追求に従うかどうかは状況によって異なるため、この理論が必ずしも全ての状況に適用されるわけではありません。