ブロークンウィンドウ理論とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングとジェームズ・ウィルソンが提唱した理論で、小さな犯罪を放置すると、やがてそれが大きな犯罪につながるという考え方です。
建物の窓が割れたまま放置されていると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなくすべて壊されるという考え方から、この名があります。
つまり、軽い違反や乱れを見逃していると、住民のモラルが低下し、環境の悪化や犯罪の多発に繋がるという考え方です。
ブロークンウィンドウ理論は、アメリカのニューヨーク市で実際に取り入れられ、犯罪率の低下が確認されました。
日本でも、2002年に大阪府警が「大阪モデル」として、この理論を取り入れた犯罪抑止策を実施しました。
具体的には、軽微な犯罪や街の荒れ放題を徹底的に取り締まり、犯罪を許さない雰囲気を醸成するというものです。
この取り組みにより、大阪市の犯罪率は大きく減少し、効果が認められています。
ブロークンウィンドウ理論は、犯罪抑止策として有効な方法として、多くの国で採用されています。
しかし、批判的な意見も存在します。
軽微な犯罪を厳しく取り締まることで、警察の権力が拡大し、市民の自由が損なわれるのではないかという懸念です。
また、犯罪の原因は複雑であり、ブロークンウィンドウ理論だけではすべての犯罪を抑止することはできないのではないかという指摘もあります。
ブロークンウィンドウ理論は、犯罪抑止策の1つの有効な方法ですが、他にもさまざまな要因を考慮した、総合的な対策が求められています。